間違いだらけのカーテン選び
~カーテン屋の選び方~ そこにシェフはいるのか!
今までのコラムの内容と重複する部分もあるかと思いますが、お店の選び方がわからないという声も未だ多いので今回は例え話を取り混ぜてお店の選び方のご提案をしてみたいと思います。同時にこのような選び方が世間一般に定着してくれたらなという願望も含めて。
カーテン屋と一言で言っても様々なお店があります。一般的には違いが分かりにくいですよね?でもカーテン屋の選び方ってレストランの選び方と同じと考えて頂ければわかりやすいのではないでしょうか?
レストランと言っても、立ち食いそば屋さん、ファーストフード、ファミリーレストラン、個人オーナーのレストラン、大手だけどこだわりのレストラン、プレフィックス中心のレストラン、フルコースのレストラン、何でも要望通り作ってくれるレストランなどありとあらゆる形態があるかと思います。
それをその時の気分や食欲、シチュエーションや懐具合などによって決めることが多いかと思います。なのでどれも必要不可欠なレストランではあります。
しかしレストランも大きく分けると二種類に分けることができるかと思います。
一つはメニューや調理方法が予めマニュアルなどで決まっていて、アルバイトの店員さんでも毎度同じ味と状態で食事が提供されるお店。
もう一つは有名無名に関わらず、シェフがいてその人が時にはスタッフにも指示を出し食材を吟味し組み合わせやアレンジを考え、アイディアと技量などが反映された内容の食事が日々情熱と愛情と共に提供されるお店。
どちらも必要なお店なのですが、立ち食いそば店と本格手打ちそば店は同じではないということは容易にご理解頂けるかと思います。
カーテン屋も同じなのです。
前者はマトリックスという縦 x 横の寸法よって表される価格表で価格が提示され、ある程度決まった仕様でカーテンが提供されるお店。仕様を変えてしまうとマトリックス表というマニュアルから逸脱してしまい、その時点で値段の算出ができなくなります。しかし、決められたルールの範囲内で、メーカーの縫製を利用すると誰が扱っても仕上がりに差はほとんどないため、新任のアルバイトの店員さんでもすぐにカーテンの販売が可能です。ファミリーレストランくらいまでのレストランと同じ形態と考えて頂ければ良いかと思います。
一方、後者は細かな仕様変更も可能で、それらに応じた価格の計算が都度きちんとできるためマトリックス表は基本的に使いません。ヒダ倍率も0.1刻みで製作可能であったり、切り替えやトリム使いなど自由自在。材料を無駄なく使い、様々な材料を使い分けて価格のコントロールももちろんできます。縫製の仕様も各店違うでしょう。使う材料も自分の目で見て、幅広い選択肢の中から吟味していきます。料理と調理法を知っているシェフがいるためにマニュアルなんて役に立たないのです。店員さんもある程度の経験を積まないと料理をすること自体叶わない世界です。
インテリアに余りこだわりがなく、ある程度決まった商品と仕様で十分ならファミリーレストランくらいまでのお店の方が良いです。同じ材料ならどこで買っても仕上がりの差は大きくないでしょう。価格も比較的お手頃なものが多いです。カーテンを扱っている業者のほとんどがこちらの部類に入るため購入できる場所もあちらこちらにあります。
しかし、インテリアにこだわりがあるなら是非ともシェフのいるお店をお選び下さい。
気を付けなければならないのは調理師免許を持っているからと言って必ずしもシェフではないということです。
料理=食材xシェフの力、ということを忘れてはいけません。
食材だけならお金さえ出せばいくらでも高級な材料を仕入れることができますが、それだけでは料理は完成しません。それに例え全く同じ食材を使ったとしてもシェフの違いによって提供される料理は見た目も味も千差万別なのが料理の世界です。
高級な材料を取り扱っていてもそのお店にシェフがいなければ素材を全く活かせないこともあるでしょう。逆に小さな個人店で、例え材料は一般的なものであっても、シェフの腕が良くて想像以上の味に仕上がる場合もあるかと思います。もし材料が同じだとしたらどちらで食べたいと思いますか?
カーテンも全く同じなのです。
カーテンの場合、特にシェフのいない中間業者さんに多いのですが、提案や見積もりなどをメーカーや輸入元に丸投げするケースが多々あります。カーテン屋というレストラン経由ではなく、材料を卸しているメーカー等に直接頼んだ方が知識もいらないですし労力もかからない上安く仕入れられると思うのでしょうか。でもそのカーテンは、お客様へは結局カーテン屋と同じくらいの値段で提供されることになります。
その方法は、料理自体を食材メーカーや食材卸の会社に依頼しているようなものです。確かにうまくいけば食材は安く手に入るかもしれませんし卸会社も多少材料の扱いも知っているかもしれません。ですが、シェフでもなくお客様とも接しないメーカーや卸業者の社員さんが果たして味もよく、見た目にも美しい料理を提供できますでしょうか?しかも自社取り扱いの材料に縛られ、多種多様な材料から選べない中で。更にその請け負う卸会社自体もお客様が自由に選択することすらできないのです。
そういう場合、消費者はそのような料理を食べさせられていることを認識する必要があります。
そのような中間業者さんがレストランに依頼できないのは、メニューの価格はある程度決まっているので自分たちの取り分が確保できなくなるからです。レストラン側がその差分を負担する場合もありますが、その場合はレストランがお客様へのサービスをどこかで削っていかなければあたりまえですが営業を継続していくこと自体が困難となります。お客様がその”取り分”を負担するのは論外ですが、どちらにしても損するのはお客様となってしまうのです。
時にはメーカーや卸業者側も食材をレストランに卸した際の利益より、一般消費者に料理として小売販売した方が利益が多いため、レストラン(販売店)を飛び越して消費者に直接販売しようとする場合もあるようです。一般的な小売りのルールから逸脱した行為ですが、業界が小さく未成熟故残念ながらそのようなこともあるようです。但し、そういう場合もシェフが作っていない料理の可能性が高いといことは忘れないでください。この辺りはビジネスモデルのコラムも参考にして下さい。
いずれにしましても、材料をできるだけ安く仕入れたいというだけなら別ですが、そこにシェフがいなければ根本的に美しくおいしい料理は作られないということです。
ではカーテン屋において、シェフのいるお店はどうやって見分けるのでしょうか?「シェフのいるお店」という看板はまずないでしょう。なければ営業できない資格などはなく、どんな資格も残念ながらあまり判断基準とはならないのがカーテンやインテリアの世界の現状です。料理ができるか、できないかしかないのです。
先ずは、例のマトリックスの価格表です。これがあるだけですぐにファミリーレストランクラスとはなりませので注意が必要です。その先に細かい仕様変更ができるかを聞いてみてください。例えば二種類の生地を組み合わせてカーテンを作りたい等。そこできちんと明確な見積もりを都度出してもらえるならシェフがいると考えていいでしょう。
もう一つの見分け方は、ヨーロッパなどのちゃんとした海外メーカーの生地を扱っているかどうかです。輸入生地を扱っていないからと言って必ずしもファミリーレストランクラスにはなりません。しかし、輸入生地は使い方をわかっていないと扱えない材料なので輸入生地を日常的に扱っているというだけでシェフがいると考えられます。但し、メーカーや卸業者でも扱いは知っている場合はあります。でも本業として日常的にお客様に対して料理を作っていないという点ではシェフがいるとは言い難いですね。百貨店やハウスメーカー経由などはそういうケースは多いかと思います。
もちろんシェフのいるレストランも千差万別です。同じ材料を使っていても味も見た目も価格も違うでしょう。例えばA店の方が同じフルコースをより安価に値付けしているからと言ってこちらのB店でも値段を下げてくれとはあまり言わないかと思いますし、C店のメニューにある料理を、同じものが提供されていないD店で同じ価格で提供して下さいとも言わないのが一般的かと思います。内容が違うためそれぞれのメニューと価格を見てA店にしようか、B店にしようかと悩むのが一般的かと思います。もちろん選択の要素は他にも沢山あります。
また同じシチュエーションにおいて、ファーストフードとフランス料理のフルコースディナーのどちらにしようか?などと検討することも一般的ではないと思います。ファーストフード同士、本格フレンチレストラン同士で悩むことは多々ありますよね。
カーテンも同じなのです。
コーディネート方法や材料の使い方、部屋ごとのストーリーなどの提案やサービスがレストランで言うメニューに当たります。調理や仕込みなど、表には見えない部分の違いも多々あります。
このようにレストランを選ぶ感覚でカーテン屋も選んで頂ければ嬉しく思います。全てのお客様を満足させるレストランなんて世の中には存在しません、カーテン屋も然りです。多様なお店があるからこそ多くの人のニーズに応えられるというものです。
ですが、シェフがいるのか、いないのかは大きな違いになってきます。もちろん一つのお店にシェフが複数人いる場合もあります。
でも実はレストランで言う”シェフ”がいるカーテン販売業者は全国的に見てもそれ程多くはありません。なので逆に見つけやすいかもしれません。
貴方に合ったレストラン(カーテン屋)、是非見つけてみてください。